四季の宝物
秘伝の漁法
HOME
秘伝の漁法・船内風景
秘伝の漁法

素潜り漁
素潜り漁・サザエ・アワビ

豊富な海藻を食べ、荒波にもまれたサザエやアワビを素潜りで捕ってくるのは、三崎では「海士(あまし)」と呼ばれる男の仕事です。その伝統は古く、ここ三崎が海士発祥の地ともいわれています。かつてはフンドシひとつで45mも潜る強者もいたとか。ブリキの水中メガネもオーダーメイドで、町には専門の鍛冶屋さんもいました。現在の海士たちはウエットスーツに身を包み、いでたちこそ少し変わりましたが、水中メガネをヨモギで拭いてくもり止めにするのは今も同じ。腰に下げる磯金(いそがね)も昔ながらの道具です。

素潜りの漁法も昔と何ら変わりません。腰に鉛をつけて30m程度の深さまで潜り、息の続く限り獲物を探して、採りあげます。海底にいられるのはせいぜい2分ほど。海上との間をこきざみに往復しながら、磯笛を吹いて空気を貯えてはまた潜ります。体力の限界へ挑む、身ひとつの漁ですが、それが宝の海を守るために三崎の海士たちが自ら定めた掟です。またどんなに苦労して拾い上げたものでも、規格に満たない小さなものは海に帰しています。漁の期間は解禁から半年足らず。貝たちの成育を妨げない、これも海士の掟のひとつです。


一本釣り漁 一本釣り漁・岬あじ・はなサバ

三崎の一本釣り漁師は一本釣りで釣り上げた魚だけを「天然もん」と呼びます。釣った魚は網で捕った魚に比べて旨さが格段に違うと言います。そして三崎の一本釣りは、50mほどの釣り糸を腕一本でとりサバく「匠の漁」。釣った魚の活きにこだわる三崎漁師ならではの漁法です。指先が糸で切れないよウニと巻き付けた白いテーピングが漁の激しさを物語ります。

一本釣りの餌はブリやアジ、タイなど漁に応じて活きた餌や疑似餌を使い分けます。同じ漁でも漁場や潮の加減によって使い分けることもあります。この漁場の読みこそが、漁師の「勘」の勝負どころ。潮を読み、風を読み、山を見て、ここぞというポイントに針を落としたら、あとは指先に全神経を集中して、魚と漁師との一対一の真剣勝負。

ひとたび魚が食いついたら一気にたくり上げます。ここで魚にストレスをかけずに一秒でも早く引き上げるのが、魚の旨さを損なわない最大のポイントです。三崎漁師に巧みに釣り上げられた魚たちは、生け簀の中に放たれた後も海の中にいたのと同じように元気に泳ぎます。  
一本釣り漁・疑似餌
延縄漁 延縄漁・トラフグ

三崎のフグ漁は底延縄漁。沖合で縄を落とし、海底に無数の針を這わせていきます。餌はイワシのぶつ切り。何千個もある針に一個ずつ餌をつけていくのもひと仕事です。またフグは皮が固いため、使った針にヤスリをかける釣り針の手入れも怠りません。「ヤスリのかけかたひとつで魚のかかり具合がちがうんよ!」と漁師はそろって口にする。はじめて延縄漁師になった若者は、針のヤスリがけを仕込まれます。

漁は夜明けとともに始まります。昔は良い場所を確保するため先を争って漁に出ていましたが、三崎漁協では安全操業のため漁場は順番制にして、不公平のないよウニしています。漁場に着いたら互いの位置をレーダーで確認して漁が始まります。縄を入れてからおよそ2時間。縄を巻き上げるとふくれたトラフグが次々に姿を現します。ここでひと技。生け簀に入れたフグが鋭い刃で傷つけ合わないよう、その場で歯を切り、手早く腹から空気を抜きます。切りすぎれば死んでしまうし、下手をすると指をちぎられます。ここで手間取っては、大事なフグの商品価値が下がるばかりか、仕事になりません。「段取り7歩、漁3歩。」三崎で漁師をするには几帳面で生真面目でなければなりません。

 
刺し網漁 刺し縄漁・伊勢海老

伊勢エビの刺し網漁は、夕方網を仕掛けて翌朝引き揚げます。伊勢エビというのは、やっかいな獲物です。昼間は岩場に隠れていて、夜、餌を求めて行動します。明るい月夜より闇夜のほうが好き。また波の静かな夜にはあまり動かず、海が荒れると活発に動き始めることから、伊勢エビ漁は時化た闇夜が好漁のときとなります。当然、危険が伴います。

万が一、天候を見誤ると、翌朝網を揚げに行くことができず、水揚げがないどころか大切な網を失ってしまうことにつながります。無理に網を揚げに行くと、岩場に引っかかった網が錨のよウニなり、船が転覆しかねません。三崎漁師の肝を冷やすこともしばしば。熟練漁師の天候と潮の読みのうえに伊勢エビ漁は成り立っているのです。こうして採りあげた伊勢エビは、脚や角を折って商品価値を落とさないよウニ丁寧に網からはずされて、三崎自慢の高級食材として全国に出荷されています。まさに天然の海の宝物です。